2003年

10月2日(木)

 DVDレコーダーを買ってみた。型番は忘れたが、パナソニックの120GBHDDのヤツだ。きっとよいものに違いない。しかし多機能すぎて一朝一夕には理解しにくいものがある。
 ちなみに私はかなりTVを観ていると思う。そのうち観ている番組を列挙したいが、そうしたらそれ以外の面白い番組を教えてくれると嬉しいな。でも、それがいつのことになるのかがわからないところが弱点であるとも言える。

10月3日(金)

 『世界で一番美しい病気』(中島らも)読了。これはあっちこっちに書き散らかした「恋愛」に関するエッセイなどを1冊にまとめたものだ。…ということは、いつかどこかできっと読んでいたに違いないものなのに、一切、見事に、完璧に、とことん記憶にない。これはある意味便利で、ある意味不便な私の特徴である。
 不便なのは同じ本を間違えて何冊も買ってしまうことを始め、きっかけがなければ内容を思い出せないということなどである。そしてどこが便利かと言うと、同じ本を数回読んでも、いつも新鮮だと言うこと。そして、読んだ内容が、「本の内容」としてではなく、「自分自身の記憶」として消化吸収されるため、後日「自分の考え」として取り出せることである。もし万一、他人の既存の作品と似たようなことを自分でどこかに書いたとしても、「これはあの人があの本で書いていたな…」などと罪の意識が芽生えることがないのである。
 書庫で「お、これはまだ読んでなかったな」と、今日から読み始めた『おもしろくてためになる飛行機の雑学事典』が、実はすでに読んだ本だったと気がついたのは、昼間、28ページ目まで読み進めた時である。しかも、それに気がついたキッカケというのが、本の最後のほうに、しおりにしていた「大塚商会(コピーなどのリース会社)」の人の名刺が挟まっていたからである。やれやれ。
 話は変わるが、昨日中島らもの新刊を2冊買った。シャバに出てきてからこっち、狂ったように作品を書き続けているようだ。それはそれで読むのが追いつかなくて困る。
 本日は『コナン』上巻のフィニッシュ作業。目標通り、3日入稿が達成されてしまった。最近、入稿に関する読みが当たるようになってしまってガックリである。というのは、以前なら3日を目標にしていたら、その前日には入稿できていたのである。予定通りに進むと言うことは、予定外のことが発生した場合、その分入稿が遅れると言うことである。15分前には待ち合わせの場所に到着しなければ安心できないボクにとって、これは耐え難きことなのである。これはアレですかい? 「罪と罰」(CGIで動くネットゲーム)にハマってるせいですかい?

10月6日(月)

 いろいろやってます。しかし、「二年生」が出校してしまったので、日記どころではないのです。当然『コナン』の下巻は予定よりも遅れていますので、スタッフのみなさん、作業ができるのは週末か、もしくは来週からになりそうです。申し訳ない!

10月7日(火)

 1日の大半を「二年生」の校正に費やす。事務所でコツコツと「今日は何の日」のデータをチェックしていると、メールが! うひゃあ。うっかり少コミの下選(新人賞の原稿を編集部で審査する前に評価しているのだ)の予定を忘れていたので、急遽小学館へ! ささっと下選を済ませ、事務所で再び「二年生」。しかし、やっとこの作業も終わりました。ぼちぼち『コナン』(下巻)に入ります。スタッフの皆さんが作業できるのは、恐らく来週かと思われます。
 ところで、『まんカレ通信』に、毎日毎日かなりの量の質問が舞い込んできている。もちろん「まんがの描き方」に関する質問だ。中には「んなモン、自分で考えろ!」みたいな質問もあるのだが、みんな一生懸命で、それぞれのメールに回答したくなる。しかし、回答できるのは、週刊で発行されている『まんカレ通信』の中で毎号1つだけという狭き門なのだ。そんなわけで、近々(いつのことか)、このサイトで、多くのまんがに関する質問に勝手に答えて行こうと思う。そして質問をカテゴライズしておけば、そのうちウチ的にも有効に使えるのではないか…という目論見なのである。回答者はウチの若手に任せるとして、このサイトは今後、「まんがノウハウサイト」に傾倒していくのであった(ホントかよ)。

10月10日(金)

 『航空機事故はなぜ起きる 元日航機長の警告』(諸星廣夫)読了。これはなかなか面白かった。この著者の別の本をアマゾンで検索してみるが、すべて「入荷未定」。ちょっとマイナーな出版社なので、ないのかなー。残念。勢い余って、巻末PRにあった別の本を2冊注文してしまった。毎日のようにアマゾンから配送が来るというこの現状は果たしてよいことなのだろうか。完全に読む速度より過剰な本類が配達されてくる。ま、それはそれ。
 しかしながら航空機関係の本は面白い。何が面白いって、ハイテクの粋を集めた航空機において、事故やインシデント(小さな事故や事故に至らなかったミス) の大半が「人間の手」によって引き起こされているという部分が、である。そして、出版やマスコミの世界に身を置いていたら、決して触れ得ない知識や知恵が、航空機関係の本には詰まっているからなのである。日常では「トルツメ」だとか「指定稿入稿」だとか、出版業界、マスコミの専門用語は頻出するが、ここでは新しい知識を得る機会に乏しい。知っている知識だけで、目をつぶっていても平均点以上の成果が出せるほど、キャリアを積んでしまったし、この世界に浸ってしまっている。ところが、航空機の分野では、自分はまだ、知っていることより知らないことのほうがめちゃめちゃ多いのである。新しい言葉との出会い、新しい概念との出会い…これが楽しいのである。ま、これは航空機に限った話ではないが。
 ちなみに、ボクは飛行機は嫌いである。高いところも嫌い。レインボーブリッジなんかも積極的には通りたくない人なのだ。それが何で航空機の本を…と思われるかもしれないが、それは第1に「敵を知るための勉強」で、そして「人間が作った物はやっぱり怖い」という確認作業なのである。偏愛と言う。
 その辺の話を掘り下げると、大変な行数になってしまうので、別の機会に譲る。日記では語らずに、コラムのページを作るかも知れない。

 さて、本日までの仕事の成果をご報告。
 『コナン』は現在66ページまで構成完了。めっちゃ鈍速。やはりスタッフが入れるのは来週からのようです。
 サイトの更新。各コーナーの見出し部分をMacでもちゃんと表示されるよう、グラフィックデータに置き換え。『ガッシュ』のアニメ本が送られてきたので、これを掲載。この本は、ウチで管理しているデータを貸し出しただけなのだが、「協力」ということでクレジットされていたので、載せてみました。また、地図のページに、事務所マンションのエントランス写真を掲載。目の前までやって来ているにも関わらず、迷子になってしまう人が多いため、見た目でわかるようにしてみました。携帯サイトのほうにも地図と写真を掲載したので、ウチの事務所に来られる方はゼヒ参考にされたい。サイト自体も、微妙にマイナーチェンジしながら、全デザインの大幅更新も計画中。マイナーチェンジと並行して作成中なので、ある日突然ガラリと変わります。ふふ。変わればいいな。ところで、「WEBサンデー」のソースは美しいですね。ああいうページにしたいものだけれど、道のりは長い。「ホームページビルダー」に頼っているうちは、まだまだですな。
 『アカデミやんか!』ネーム、1話分作成。今回はすんなり第1稿でパス。ついでに「少コミ」の資料を整理。そうこうしているうちに、「少コミ」のC田氏来訪。新年号からのリニューアルについて打ち合わせ。大幅に誌面を変更することに。ちょっと大変。
 知らぬうちにかなり長くなってしまった。許せ。

10月17日(金)

 日記もずいぶんさぼってしまったが、それなりに忙しかったのでお許しいただきたい。でも、これで多少視聴率(とは言わないか)が下がったであろうので、多少気楽に書けるようになったかもしれぬ。
 では、本日までの仕事の内容をざっとおさらいしよう。
 『コナン』は120ページまで構成終了。フィルムの切り出しも終了。アタリは100ページくらい終わった感じであろうか。同時進行の『ガッシュ』5巻も、1話目は構成アタリ共に終了。Macでの版下作業に入っている。2話目も構成終了。『ガッシュ』はこの5巻でひとまずお休み…というか、終了することに。アニメコミックはコストがかかるので定価が高く、かなりのヒット作でない限り、採算が合いにくいのである。
 そして今日は、『アカデミやんか!』のネームをちょっと切る。夕方から打ち合わせで小学館へ。サンデーで『まんカレ通信』のコンテンツ変更について話し合う。とりあえず流行りものということで、『まんがトリビア』なるコーナーを新設することに。諸々の事情で『オレのまんがバイブル』のコーナーは打ち切り。政治的な判断も加わると、面白い企画が生き残るとは限らないのであった。その後、『ガッシュ』の打ち切り&リニューアル関係、『原画見本帳』の制作費関係、超(スーパー)増刊での劇場版『犬夜叉(予告編)』のアニメコミック化についての打ち合わせ。最後に、新年号からの『少コミまんがアカデミア』のリニューアルについて話し合う。
 そうこうしている間に、ナゼか東映アニメーションのH毛さんから電話。抜き差しならない相談があるらしいので、月曜日にランチしながらお話しましょうということに。ついでに月曜は『ガッシュ』4巻の校了もある。そして『アカデミやんか!』の締め切りでもある。『コナン』の続きはいつするんだろう…。

 ここで『まんカレ通信』では使わない(使えない)『まんがトリビア』をひとつ。

●『感染るんです。』のかわうそは、本来他誌に掲載される作品のキャラだった。

 「ビッグスピリッツ」でかつて一世を風靡した吉田戦車氏の「かわうそ」というキャラは、吉田氏が他誌用にスケッチしていたものだったのだが、それを当時の担当者・E上さん(現「IKKI」編集長)がめざとく見つけ、『感染るんです。』のキャラとして出演させることになったということは、まんが関係者の中ではそこそこ有名な話である。吉田氏と交流のある鈴木みそくんなら知っていることでしょう(私信)。
 ま、こういったまんが制作の裏話のようなことを「トリビア」として掲載して、新人がまんがを描くためのモチベーションの一助にしようという狙いなのだが、実際のところは「面白いからやる」ってだけのことなのだ。
 実際のところ、本家『トリビアの泉』も、視聴者からの投稿だけでは番組は当然回らないということで、関係者から各編集部に「まんがに関するトリビアがあれば教えてくれ」というオファーが来ているそうである。編集者は自分の仕事と、自分の担当する作品のクオリティアップ以外には、あまり関心がない人が多いので、これまた当然のことながら、そんな「面倒な協力」に対しては前向きではない。そこで、『まんカレ通信』でその辺を一気にいただいてしまうという仕組みなのだ。
 これを見ているまんが関係者の方は、面白いまんがトリビアがあれば、お教え願いたい。…って言っても、みんな自分の作品のクオリティアップにしか興味はないんだよな。期待はしていない。鈴木みそくん以外には。(「銭壱巻」買ったよ)


P.S.もひとつオマケに私信…デザイナーのA部さんに指摘された「行間が狭くて読みにくい」問題であるが、今のボクの知識では、行間をほどよくあけることができない。次のテーマは「行間自由自在」として頑張ります!

10月19日(日)

 バカですか?
 JR東日本って、バカですか?

 例の中央線高架化による、「開かずの踏切」のさらなる「開かず化」の話です。
 あんまりバカバカしくて、話題にもしたくないくらいなんですけど、JR東日本のコメントが、あまりにもバカなので呆れている。
 コトの成り行きは、新聞等を個々で確認してもらうとして、「見通しが甘かった」ですって? 「見通し」って言うのは、「見て」「考えて」みて、それでも思い至らなかった時に使う言葉。まったく何も考えないで使う言葉ではない。
 ラッシュ時1時間に、1分しか開いていない踏切なんて、踏切とは言えんでしょう。
 踏切の開け閉めのタイミングを直すのに、5億円の費用と6か月かかるって、バカですか?
 半年間、「1時間に1分」しか開かない踏切でいるそうです。そして謝ってますよ。バカですねー。他に方法がないんですって。考えてないだけですねー。
 通勤客を運送するために…それはもちろん公共の利益のためでもあるんだけど、「自分のところのお客さんに不便をかけないために、沿線の住民に多大なる迷惑をかけるのはやむを得ないのだ、ごめんなさい」と言ってるのですよ。んもう、バカ。
 提案するのもバカバカしいけれど、ラッシュ時に1本電車を減らせば済む問題。そして乗客には時差通勤を呼びかけ、そのキャンペーンに5億使うとか、時差通勤に対する報奨金、奨励金として5億を使うとか、考えないのかね。
 沿線住民には迷惑をかけても、自分のとこの客には一切迷惑をかけないって言う考えが、そもそも「おかしい」。公共性の高い乗り物なんだから、せめて迷惑を半々くらいにしてやれよ!
 あきれてモノも言えないが、とりあえず言ってみた。

 ついでに行間を何となくうまいことやってみた。

10月20日(月)

 『ネリモノ広告大全 ちくわ編』(中島らも)読了。とりたてて見るべき所も、言うべきこともない作品。ひとつだけ言うとしたならば、この頃の中島らもの文章には若さがあった。
 今日は、朝から『ガッシュ』の4巻を校了。その後、東映アニメーションへ。打ち合わせの主題は他愛のないことだったので割愛。それよりも、昔のアニメやまんがの話で盛り上がって楽しかった。久々に懐かしいアニメの話ができて、とても有意義な時間でした。
 ボクらの世代には、アニメにしてもまんがにしても、共通する原体験があった。それは「『太陽の王子 ホルスの大冒険』を観てアニメの奥深さを知った」であり、「『魔法使いサリー』の再放送を何回観た」であったり、さらには『サリー』の中に出てくる眼鏡嫌いの女の子に対してサリーが言った「そんなことしていたらメ●ラになっちゃうわよ!」というセリフであったり。
 最近、東映アニメーションに入社する新人には『ホルス』を観たことのない人がいると言う。『ホルス』を知らない人がいると言う。ま、その分『ドラゴンボール』を観てるらしいので、それはそれで仕方がない…と、東映アニメーションの方々は言うが、やはり観ていて欲しいというのが、ボクも含めてアニメの業界に籍を置く者の本心だ。
 これをまんがに置き換えれば、手塚治虫やちばてつやを読んだことがないのに、まんが家やまんが編集者になる…みたいなモノ。『巨人の星』は読んでいなくても一向に構わない。しかし、手塚治虫とちばてつやを読まずにまんが業界に身を置くことは、やはり論外と言わなければならない。
 恐らく、業界関係者以外の方には「何でちばてつや?」と思われる方も多いと思うが、そうなのである。ピカソを知らずに画家になる人がいないように(好き嫌いは別として)、ちば作品は、まんが関係の仕事をするためには必須のエッセンスが含まれているのである。
『ブラックジャック』『火の鳥』『三ツ目がとおる』『陽だまりの樹』『あしたのジョー』『のたり松太郎』…この辺は必読の書である。
 余談だが、最近のアニメーターの中には、動画用紙自体を使わない人がいると聞き、仰天。タブレットで原画を描き、中割りもタブレットでやってしまうのだそうな。あな恐ろしや…。

10月23日(木)

 かの文春漫画賞作家、菊池晃弘氏から新刊が送られてきた。どうもありがとう。その名も『ヘッスルボーイ』!! バカバカしすぎるぜ! でも、きくちゃんらしい作品と言えなくもなし。最近の作品で、ここまで子供向け下ネタに徹した作品は見たことがない。徹底しているという点で特筆できるし、評価できる作品だ。ま、好き嫌いは別として…。たいていの大人は好きではないでしょう。でも、それがこの作品の勲章でもある。
 『ネリモノ広告大全 ごぼてん編』(中島らも)読了。こちらは『啓蒙かまぼこ新聞』の中の、主にまんがを集めた文庫。特筆すべきところは、これだけの長期連載をやっていながら、中島氏の画力にまったく向上の痕跡が見られないことだ。通常、どんな人でも、毎月定期的に絵を描いていれば、半年くらいで目を見張るほどの上達をするのが当然である。しかし、彼のペンタッチは一向に向上していない。フキダシの中の文字にしても、あれだけ連載していて、いわゆる「まんが字」になっていないのだ。
 おそらくは単に「まんがに対する向上心」が欠如しているからであろう。「うまくなりたい」とか「プロっぽくなりたい」と望めば、わずかな期間にかなり上達するはずなのだ。それが上達していないというのは、「そこにいたい」という意志があるか、「何の意志も介在していない」かのどちらかである。
 ちなみに「ちくわ編」の解説はいしかわじゅん氏で、この「ごぼてん編」の解説はいしいひさいち氏が執筆している。しかもいしい氏の解説は、4コマまんがで描かれていて、それはどうなのよ?と強く思った。なにせ、いしい氏のまんがは面白い。そして絵は抜群にうまい。それが中島らものまんがの巻末に入っていたら、そこまでだまし続けてきたモノが、一瞬で露呈するではないか! いや、だますという言い方は適切ではない。本文は間違いなく「中島らもワールド」なのだが、いしい氏の解説を見た瞬間、読者は「4コマまんがワールド」に引き戻され、否が応でも「中島らも作品」を「4コマ作品」として評価せざるを得ないのである。ちょっと配慮が足りないように感じられたがいかがなものでしょう。
 本日は、『コナン』上巻の校了。そして事務所に戻ると、サーバーとして使用していたMacがご機嫌ナナメ。スタッフがだましだまし使っていたらしいが、「いっちょ直してやっか」と、いろいろいじっていると泥沼化。システムが腐ってる疑いが濃厚に。ついにはシステムの総入れ替えを目論み、オリジナルのOS9のディスクを探すが行方不明…。とりあえず最小システム+ファイル共有の機能拡張だけを生かして立ち上げ、現在進行中の必要ファイルを別のマシンにコピー。そして作業が開始されたのが17時過ぎ。まったく仕事にならない1日でした。しかもMacは復旧見通し立たず…。月末入稿ピーンチ!! みたいな?

10月25日(土)

 『ディズニーランドとマクドナルドの人材育成術』(西村秀幸)読了。感想は…読んで損した…。表面的なことだけをなぞり、一番知りたい部分に関しては「ここでは割愛する」などとなっていて、ストレスがたまること甚だしい。
 本日までに、『コナン』の構成、フィルム切り出しはすべて終了。『ガッシュ』5巻も約2/3の行程が終了している。月末にこの2冊を入稿したら、しばらくアニメコミックはお休みになる予定だ。あ、いや、サンデーの「超」増刊に、劇場版『犬夜叉』の予告コミックをやるのであった。7ページ。

 今日は、以前書いた「学校がおかしい」の大学編。
 例えばアナタが、ある人と待ち合わせをして、待ち合わせの時間に待ち合わせの場所に行ってみたら、そこに置き手紙。「今日は来られません」。
 これって、非常識ですよね? でも、こんな非常識なコトは大学では日常です。
 それは「休講情報」。昨今はインターネットで情報を流す学校も増えてきてはいるものの、相変わらず「行ってみたら休講」という学校も多い。
 社会に最も近くあるべき大学で、社会から最も遠い常識が横行しているから、社会人になった時、現実とのギャップが生まれるのだ。
 ボクの経験からすると、小中学校は生活に対して厳しかった。高校に入ると、生活についての指導は、ある程度が自主性が認められたが、やはり厳しかったように思われる(それに従っていたかどうかは別として)。しかし大学はどうだ。約束の時間に行ってみれば、そこには「今日は休みです」の張り紙。これは社会的にあまりにも非常識ではないか。学生は交通費と時間を無駄にされているのだ。それについて疑問をもっと持ったほうがいい。約束の時間に来られない場合は、相手に何らかの手段を使って、事前に連絡を取る努力をすることが常識なのだ…って、当たり前過ぎて、書いててアホらしくなる。
 ある大学のエラい先生が、かつてTVでこんなことを言っていた。「大学のお客さんは学生ではなく、その親である」と。「お金を出しているのは親であり、大学は学生の満足度よりも親の満足度を優先して考える」と。なるほど、ビジネスとしてはそうかもしれない。しかし、あまりにも学生を非人間的に扱い過ぎてはいまいか。
 大学はきっとこう言うだろう。大学は学究機関であり、社会性を学ぶべき場所ではない。社会性は各自で身につけろ、と。しかし、「教えない」というのと、「悪い見本を見せて、それでいいのだと思わせる」のとでは、罪の大きさが違う。
 ウチの事務所の近所には、幼稚園から大学まで完備した、エスカレーター式女子大学がある。そこにウチの事務所の求人を出しに行ったことがある。
 まずたずねていくと、大学の人間が「バイト募集は学生課が担当なのか就職課が担当なのかわからない」と言う。そしてとりあえず「就職課」の方とお会いして話をするが、まずこの人が「社会人としての会話」ができない人だったのだ。言ってることの意味がわからない。きっと言ってる本人にもわかっていないと思われた。しかも声が低くて聞き取れない。「あなた、他人としゃべったことあるんですか?」と問いただしたくなるほどだ。「就職課」という、本来最も社会性を帯びていなければならない部署にいる人が、この有様なのだ。背筋に冷たいモノを感じた。
 そして後日、ウチの事務所の資料を持って、再びその大学を訪れると、今度は別の担当者が出てきて、「バイト募集は学生課だ」と言う。もう唖然を通り越して、大学という社会性のない組織に対して、憤りをも感じた。
 他にも大学のおかしなところを挙げ始めれば枚挙に暇がない。が、今回はこの辺で。

10月28日(火)

 ここ数日、サーバーにしている…というわけではないのだが、データをとりまとめているマシンの調子が悪い。とにかくINITを片っ端から外して、基本動作だけするような設定でだましだまし動かしている。メインフレームは別のマシンに譲って。
 ところが、である。その不調が他のマシンにも伝播した。家電品が連鎖的に不調になる現象は、誰もが心当たりのある出来事だとは思うが、まさにその通り。今度はスキャナを接続している最古参のPower Macが絶不調に。さらにはスキャナまでもが信頼性を欠く動作に陥った。
 今ウチの事務所で使っているマシンは、G4が2台、G3が2台、G3カードに換装したPower Macが1台、そして現在このサイトの更新に使用しているVAIOが1台という布陣。スキャナはかなり古いHewlett-Packardの製品で、現在ではMacに接続するためのドライバなどをサポートしていない製品である。ゆえに、古い機種(OS)でしか動作が保証されていないので、Power Mac(OS8)が現役で稼働してるのだ。
 そしてこのスキャナ、古い機種なのでサイズが中途半端でとても重宝していた。現在ではA4サイズがパーソナルユースでは主流となっているため、ほとんどの機種がこのA4サイズとなってしまっている。プロユースでA3に対応した製品はあるが、価格帯に10倍以上の開きがある。現行のスキャナは「A4サイズ」とうたわれていたクセに、実はタテはB4サイズ以上、ヨコはB4よりやや狭いという奇特なサイズだったのだ。
 ま、そんなスキャナが動かなくなった日には、スキャナは買い換え、Power Macは引退というつもりでいたのだが、それは締め切り直前に突然やってきた。いや、恐らく必死になればPower Macもスキャナも復活するに違いないと思う。原因はケーブルの接触不良であったり、ドライバソフトや他のINITの不具合であったりするのはほぼ経験からわかる。しかし月末には『コナン』と『ガッシュ』を入稿しなければならない。時間はないのである。
 そこで瞬間的に買い換えを決意。ただちに買いに走らなければ締め切りに間に合わないのは火を見るより明らかなのだ。しかしそこはそれ、ダテに場数を踏んではいないので、A3スキャナの在庫が薄いことはわかっている。在庫確認のため、渋谷、新宿の量販店に電話をする。だがしかし、想像をはるかに上回る品薄! 簡単に言えばA3対応のスキャナなど「どこにも売っていない」のである。
 様々な選択肢が頭の中を駆けめぐる。知り合いのデザイナーさんに一時的にスキャナを借りるか…それとも…と思いつつ、最後の賭けで、ウチのMacの大半を納入してくれているデザイン事務所さん(販売代理業務もやっているのだ)に聞いてみる。…と同時に、コピーなどをリースしているリース会社にも電話。さて、納品日と値段はいかに…!?
 まず、リース会社から電話。最短で31日中納品で約27万の提示価格。そして、前述のデザイン事務所からも見積もりが。最短で30日中、恐らく30日午前には…という納期で31万。1日違いで4万の差は大きい。しかし今は一刻も早く作業を進めたい。で、そのデザイン事務所と価格交渉の結果、28万で手打ちとなったので、万事めでたく30日には作業再開の予定となりました。
 それにしてもA3対応スキャナ、高いぞ!

10月31日(金)

 ごぶさたしてしまいました。それはそれはドタバタとした数日間で、スキャナは昨日の午前中に到着。それと同時に、不調だった旧スキャナが復活。Macとその周辺機器なんてそんなものですね。とりあえず新しいスキャナを接続している時間がもったいないので、旧スキャナですべての作業を終えました。
 そんなこんなで、『コナン』下巻は本日入稿。『ガッシュ』5巻も来週の火曜日には入稿できそうです。
 それにしてもA3スキャナの高額さもさることながら、とにかくデカい!! おいおい、これどこに置くんだよー、みたいな状況で、とりあえずはスタッフのデスクの下にしまい込むことを考え、背の低いキャスター付きの台を発注。今はスキャナの入っていた箱の上に乗っているんだけどね。
 夜、ちょっとだけ時間に余裕ができたので、接続。ドライバをインストール。解像度は1600dpiであるが、ドライバソフトの設定は3200まである。試しに35ミリのポジを3200dpiの設定で取り込んでみると、ヨコが約4000ピクセル。おお、こりゃ使えますね。ま、3200とは言え、実はハードウェアの解像度は1600なので、ソフトで解像度を上げているだけなのでしょう。A3サイズのフルカラー原稿を取り込んだら、どんなファイルサイズになるのだろう。怖くて考えたくもない。
 本当は、ちょっとt.A.T.u.のことを書こうと思ったのだが、今日はもう遅いのでやめ。明日以降をお楽しみに。